はじめに
TikTok Shop運用支援の現場で日々ニュースを追っている立場から、今回は日本・アメリカ・中国の3地域の動きをまとめました。日本は1周年を経て「発見型EC」の型が定着しつつある一方、アメリカではAIによる制作自動化と有料会員テスト、中国ではレビュー獲得手法への規制強化が進んでいます。
今日の注目トピック
1. 日本、1年でコンテンツ起点購入が定着
TikTok Shop Japanの1周年reportでは、2025年6月30日〜2026年6月30日の1年間で、流通総額の70%超が動画・LIVE配信などのコンテンツ起点の購入によるものだったことが示されました。利用者数も2025年7月比で30倍超に拡大しています。単なる一過性のブームではなく、「コンテンツを見て買う」という購買行動がこの1年で定着した点が重要です。
2. アメリカ、AIによる制作・出品の自動化が加速
TikTokはAI Fashion Video Maker、AI Dubbing、List with AIといったAI機能を相次いで投入しました。静止画から動画を自動生成したり、商品情報から出品ページを自動作成したりできるようになり、コンテンツ制作のハードルが下がっています。誰でも一定水準のコンテンツを量産できるようになるほど、今度は「何を訴求するか」という企画力の差が結果を分けるようになると考えられます。
3. 中国、好評誘導への規制が強化
抖音電商(中国本土のTikTok Shopに相当するプラットフォーム)は、返金やプレゼントと引き換えに好評価を求める行為、AIによる自動架電での好評依頼などを新たに違反類型として明記し、8月10日までの是正を求めました。中国本土の話ではありますが、プラットフォームが「誘導レビュー」への監視を強める流れは各国のTikTok Shopでも共通しており、注視しておく価値があります。
地域別ダイジェスト
日本
TikTok Shop Japan、提供開始1周年report公開(2026-07-28)
2026年6月時点の利用者数は2025年7月比で30倍超に拡大しました。流通総額の70%超がコンテンツ起点の購入で、うちLIVE配信経由が約60%を占めています。利用者の年齢構成は18〜34歳が約4割、35歳以上が約6割です。
現場の視点:35歳以上が6割を占める点は見落とされがちです。若年層向けのクリエイター起用に偏っていないか、ターゲット層の再確認をおすすめします。
出典: commercepick.com
アメリカ
AI機能3種を投入——AI Dubbing・AI Fashion Video Maker・List with AI(2026-01-15)
静止画から商品紹介動画を自動生成する「AI Fashion Video Maker」、商品説明から音声付き動画を自動生成する「AI Dubbing」、写真と簡単な説明文から商品リストを自動生成する「List with AI」が発表されました。あわせてCRM連携ツールの更新やGMV Max自動キャンペーン機能も追加されています。
現場の視点:AIツールは制作の「量」を底上げしますが、差別化の勝負どころは変わらず企画とオファー内容です。自動化で浮いた時間を、訴求の切り口づくりに回すのが得策です。
有料会員制度「TikTok Shop Plus」をテスト中(2026-07-24〜26報道)
月額6ドル・10ドル・15ドルの3段階で、会員限定の値引きや送料無料などAmazon Prime型の特典をテストしていると報じられました。まだテスト段階で、正式導入の発表はありません。
現場の視点:正式導入されれば会員向けの価格設計や在庫確保の検討が必要になりますが、現時点では様子見で問題ありません。続報を待ちたいところです。
出典: pymnts.com
中国
抖音電商、「好評誘導」への規制を強化。8月10日までの是正を要求(2026-07-27発表)
返金・プレゼント提供と引き換えの好評依頼、商品ページでの誘導表現、AIによる自動架電での好評依頼が新たに違反類型として明記され、商品下架や保証金没収などの措置対象になりました。唯一認められる手段は人手による1対1の電話フォローのみです。
現場の視点:レビュー獲得施策で金銭的インセンティブやAI架電に依存している場合、各国版のTikTok Shopでも同様の規制強化が及ぶ可能性があります。今のうちに運用ルールを見直しておくと安心です。
出典: sohu.com
日本のセラーは何をすべきか
- コンテンツ起点の購買行動を前提に投資配分を見直す:流通総額の7割超がコンテンツ起点という数字は、動画・LIVE制作への投資を「おまけ」ではなく本体施策として位置づける根拠になります。
- AIツールは効率化用途に絞り、企画は人力で磨く:AIによる動画・出品の自動生成が普及するほど、量産すること自体の価値は下がります。浮いた時間を訴求の切り口づくりに使いましょう。
- レビュー獲得施策の運用ルールを点検する:プレゼント企画やAIによる架電フォローを行っている場合、中国本土の規制強化の流れを参考に、自主的にルールを整理しておくことをおすすめします。
まとめ
TikTok Shop Plusの正式発表の有無、そして各国版での「誘導レビュー」規制の広がりが、今後の注目点です。引き続き追いかけていきます。

