AIとCodexでLINEスタンプを作ってみたら、思った以上に「文字組み」で沼った話

「AIに任せれば、LINEスタンプなんてあっという間に作れるだろう」——正直、最初はそう思っていました。

今回、CodexとAIを使って、LINEスタンプを企画からキャラクター設計、画像生成、文字入れ、登録ファイル作成、そしてLINE Creators Marketへの申請まで一通りやってみました。結論から言うと、思っていたよりずっと「人間の判断」が必要な場面が多く、AIに丸投げしてうまくいく部分と、うまくいかない部分がはっきり分かれる経験になりました。

この記事では、実際にどこをAIに任せ、どこで人間が判断し、どこで「これは違う」とやり方を変えたのかを、時系列で振り返ります。これからAIツールを使ってLINEスタンプや個人制作物を作ってみたい方の参考になればうれしいです。

まずは「工場」を作るところから始めた

最初にやったのは、LINEスタンプを作るための仕組みそのものを作ることでした。「LINE STAMP FACTORY」と名付けたプロジェクトで、テーマ案を考える、キャラクターを設計する、40個のセリフを考える、スタンプ画像を生成する、審査前のチェックをする、登録用のZIPを作る——という一連の流れを、いきなり自動化しようとしたんです。

我ながら気が早いというか、「AIに任せれば流れ作業でできるはず」という思い込みが強かった段階です。実際、MVP(最小限の動くもの)としての仕組みはできました。ただし、この時点でできた画像はあくまで仮画像。「これをそのまま売る」にはほど遠いクオリティでした。ここは早々に、AI任せの限界を思い知らされた瞬間でした。

最初の本格キャラ「ねむけもの」で、登録の全体像をつかむ

次に、最初の本格的なテーマとして選んだのが、眠そうなナマケモノ風キャラクター「ねむけもの」でした。登録名は「ねむけもののお仕事ゆる敬語」。仕事や家族との連絡に使いやすい、ゆるい敬語スタンプというコンセプトです。

ここで、Sticker Title・Description・英語タイトル・英語説明文といった登録情報を一つずつ整理していきました。この作業自体はAIと一緒に進められましたが、「このキャラクターに、この言葉遣いは合っているか」「英語にしたときに変な意味にならないか」といった最終判断は、やはり自分の目でひとつずつ確認する必要がありました。

「文字が思った以上に難しい」という気づき

ここが今回、一番の転換点でした。

ターミナル上で画像生成と文字合成をまとめてやろうとすると、イラストの質や、日本語の文字の見た目がどうしても弱くなってしまうことに気づいたんです。特に、AIの画像生成に日本語の文字をそのまま入れ込もうとすると、文字が崩れたり、配置が不安定になったりする問題が頻発しました。

「かわいいイラストさえ作れれば、あとは文字を乗せるだけ」——そう思っていたのですが、現実は逆でした。LINEスタンプは、イラストの可愛さと同じくらい、文字の読みやすさが命だったんです。

そこで方針を切り替えました。

  • キャラクターやポーズのイラスト → ChatGPT の画像生成に任せる
  • 文字の配置・色・白縁・影・サイズ調整 → Codex 側で人間が細かく制御する

この「餅は餅屋」的な役割分担にたどり着いたことで、ようやくイラストの可愛さと、登録画像としての安定感を両立できるようになりました。ここは、AIに全部任せるのではなく、「AIが得意なこと」と「人間(あるいは別の道具)が制御すべきこと」を切り分けたことが効いたポイントだと思います。

4枚 → 8枚 → 12枚 → 40枚。いきなり完成させない

もうひとつ意識したのは、いきなり40枚を作り切ろうとしなかったことです。

まずは「了解です」「ありがとう」「お疲れさまです」「眠いです」など、よく使いそうな言葉で数枚だけ試作しました。そこで表情やポーズ、文字の位置、色、白縁、影の見え方を確認し、問題なさそうなら8枚、12枚と徐々に枚数を増やし、最終的に40枚まで拡張していきました。

このプロセスで、挨拶・返答・感謝・謝罪・依頼・確認・移動・予定・終了・休息・キャラクター固有ネタといったカテゴリに整理していったのですが、これは完全に人間の判断でした。「日常や仕事でどんな場面にこのスタンプを使うか」を想像しながら言葉を選ぶ作業は、AIに丸投げできる部分ではなく、自分で「使う人の気持ち」を考える必要がある工程でした。

地味だけど超重要だった「サイズ」と「ファイル名」

イラストや文字組みに気を取られがちですが、実は一番地味で、一番ミスすると詰む部分がここでした。

LINE Creators Marketに登録するには、決まったファイル仕様を満たす必要があります。最終的に整えたのは、こんな構成です。

  • main.png:240px × 240px
  • tab.png:96px × 74px
  • 01.png 〜 40.png:各240px × 240px
  • publish.zip:上記42ファイルをまとめた登録用ZIP

ファイル名も main.png、tab.png、01.png、02.png……と、LINE側が扱いやすい形に統一しました。ここは「正解が決まっている作業」なので、Codexにチェックや整形を任せるのが効率的でした。AIと人間、それぞれに向いている作業がはっきり分かれるな、と実感した工程です。

制作が進むにつれて、試作品・最終画像・ZIP・スプレッドシート・旧データがフォルダの中でごちゃ混ぜになってしまったので、outputs/line_stamp_sets/ の下にセットごとにまとめる形に整理し直したのも、地味ですが重要な作業でした。

「可愛くない」からやり直した柴犬、そして次のキャラクターたち

ナマケモノの次は、仕事で使いやすい柴犬スタンプ「しごでき柴犬 即レス敬語」を作りました。

ここで面白かったのが、最初に作った柴犬モデルを見て「これは可愛くない」と判断し、キャラクターデザインをゼロから作り直したことです。この「可愛いか、可愛くないか」の判断は、最終的には人間の感覚に頼るしかない部分でした。AIが生成した候補を並べて、「これは違う」「こっちのほうがいい」と選び取っていく——ここは今回の制作全体を通じて、一番「人間らしい」判断が求められた瞬間だったと思います。

作り直した柴犬モデルを承認したあとは、同じように40枚のスタンプへ展開しました。低体温ネコ・係長ハムスター・ほめ恐竜・ふとんペンギンといった次のキャラクター案も検討し、低体温ネコについては試作も進めました。ここでも、最初は小物がただ置かれているだけに見えたり、ポーズが似通ってしまったりしたので、「スマホを持っている」「PCで作業している」「コーヒーを持っている」「書類を読んでいる」など、行動が伝わるポーズに後から修正しています。「なんとなく可愛い」ではなく「見て意味が伝わる」ポーズにする、という調整も、人間側の観察と判断が必要な部分でした。

そして審査待ちへ

こうして完成したデータを使って、LINE Creators Marketへ登録しました。2026年9月4日時点では、

  • 「しごでき柴犬 即レス敬語」:審査待ち
  • 「ねむけもののお仕事ゆる敬語」:審査処理中

という状態です。管理画面のアイテム管理に、両方ともきちんと表示されていて、ようやく「作ったもの」が「申請できる状態」まで到達したことになります。

まとめ

今回、一番の学びは、AIにすべてを一発で任せるより、役割分担したほうが結果的に品質が上がるということでした。

  • イラストの可愛さやポーズ作りは、ChatGPTの画像生成が強い
  • 文字の読みやすさ、サイズ調整、ファイル名の整備、ZIP化、審査前チェックは、Codexで人間が細かく制御したほうが安定する
  • 「可愛いか」「意味が伝わるポーズか」「使う場面に合った言葉選びか」——ここは最後まで人間の目で判断するしかない

LINEスタンプは「可愛いイラストを作る」だけでは完成しません。登録用サイズ、ファイル名、tab.png、main.png、英語タイトル、説明文、40個の文言管理、審査前チェックまで積み重ねて、ようやく申請できる形になります。今回の制作は、AIを使った創作というより、AIと一緒に小さな商品を作り、審査に出すところまで進めた実験だったな、と振り返って思います。

次回は、この2つのスタンプがどんな審査結果になるのか、そして実際に販売が始まったらどうなるのか、続報としてまとめられればと思っています。

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